ERPC、シンガポールの大型 Solana RPC ノードを大幅アップデートし再稼働。アジア地域の高速化需要に対応

ERPC、シンガポールの大型 Solana RPC ノードを大幅アップデートし再稼働。アジア地域の高速化需要に対応

2025.11.21
ELSOUL LABO B.V.(本社:オランダ・アムステルダム、代表取締役CEO:川崎文武)と Validators DAO が運営する ERPC は、シンガポール(SGP)リージョンにおいて大型 Solana RPC ノード(HTTP/WebSocket)について、Solana の主要ネットワークデータセンターにて大幅なアップデートを実施し、再稼働を開始したことをお知らせします。
これにより、Solana の主要ネットワークレイヤーに対する往復 ping は、従来の 1ms 超から 0 コンマ台(0.x ms)へと短縮されました。シンガポール、ベトナム、香港、台湾、中国をはじめとするアジア地域からのアクセスにおいて、パフォーマンスの明確な改善が確認されています。
近年アジア地域からの Solana 利用は拡大を続けており、本アップデートはその需要と高速化ニーズに対応するための取り組みです。

シンガポールが Solana 用途で重要な理由

シンガポールはアジアにおける主要な国際金融センターであり、多国籍企業やトレーディング関連のビジネスが集積しています。加えて、大規模データセンターが集中する拠点であり、アジア各国を結ぶ海底ケーブルのハブとして機能していることから、中国、台湾、ベトナム、インドネシアなど主要都市との往復遅延が小さいという特性を持ちます。
Solana においても、シンガポールはインセンティブプールのステーク対象地域のひとつであり、バリデータを増やすための取り組みが進められている重要拠点です。ネットワーク構造とステーク分布の両面から、Solana 用途のインフラ構成においてシンガポールを押さえることは合理的な選択となっています。
今回、シンガポールの大型 RPC ノードを Solana の主要ネットワークレイヤー上で大幅にアップデートしたことで、アジア各地からこの重要なネットワークレイヤーへ直接アクセスしやすい環境が整いました。

Solana 主要ネットワーク上での大幅アップデート内容

従来の構成では、シンガポールの RPC ノードは Solana の主要ネットワークに対して一段離れたネットワーク構成となっており、余分なホップや経路の揺らぎが生じる余地がありました。その結果、平均レイテンシ自体は十分に小さい水準(約1〜2ms)であっても、ブロック取得やログ取得のタイミングにばらつきが発生しやすい状況がありました。
今回のアップデートにより、シンガポールの大型 RPC ノードは、Solana ネットワーク上でステークが集中的に分布する主要ネットワークレイヤーと同一ネットワークで動作する構成へと刷新されました。主要ネットワークへの往復 ping は、従来の 1ms 超から 0 コンマ台(0.x ms)へと短縮されています。
これにより、次のような特性が得られています。
  • ブロックやログの取得がスロットごとに安定しやすくなる
  • ネットワーク経路の揺らぎによる遅延ばらつきが抑えられる
  • Shreds の受信が安定し、インデックス処理も安定しやすくなる
平均レイテンシが下がっただけでなく、データ同期に必要な Shreds は UDP で配信されるため、外部ネットワークの経由が少ないほど受信が速く安定します。今回のアップデートにより、Shreds の受信経路が最短化され、ブロックやログの取得がこれまでより安定しやすくなった点が大きな改善ポイントです。

アジア地域のブロックチェーン需要拡大とこれまでの課題

ここ数年、アジア全体でブロックチェーンと Web3 への注目度は高まり続けています。日本、韓国、中国、シンガポール、台湾、ベトナムなどでは、Solana を含むパブリックチェーンを対象としたハッカソンやコミュニティイベントが増加しており、開発者人口も拡大しています。
一方で、アジア地域では長らく「高速かつ堅牢な RPC 基盤」を確保しづらい状況がありました。
  • ローカル環境やクラウドから海外リージョンの RPC に接続するため、ネットワーク距離が大きい
  • 開発段階では問題が見えにくいものの、本番運用や高負荷時に不安定さが表面化しやすい
  • ネットワーク距離がボトルネックとなるため、コードやマシンスペックの改善だけでは限界がある
今回のシンガポールの大型 RPC ノードの大幅アップデートと再稼働により、こうしたボトルネックの一部をネットワークレイヤーから解消し、アジア地域での開発・運用を支えやすい環境を整えることを意図しています。

ERPC の設計方針:Solana 主要ネットワーク内でノードを運用

ERPC の共有ノードは、Solana 主要ネットワークと同一ネットワーク内で動作しています。Solana では、リーダー回数は各バリデータのステーク量に比例し、Shreds はステーク量の多いバリデータから順に伝播します。このため、ステークが最も多く集まるネットワークが Shreds を最も早く受信できるレイヤーとなり、ERPC ではこのネットワークを “Solana 主要ネットワーク” と定義しています。このレイヤーに共有ノードを配置することで、外部インターネットを経由せずに最新データへ最短距離でアクセスできます。
この構成により、ブロック、ログ、Shredstream、gRPC の各種データが最短経路で処理され、ネットワーク距離によるばらつきや経路変更の影響を受けにくくなっています。
今回のシンガポールの大型 RPC ノードのアップデートも、この基本方針に沿っており、主要ネットワークとの距離を詰めることで、処理の一貫性と安定性を高めることを目的としています。

Solana RPC Bundle プラン

Bundle Plan
ERPC では、Solana 向けの高速回線をまとめて利用できる「Solana RPC Bundle」プランを提供しています。Bundle プランでは、次の構成を一括でご利用いただけます。
  • Solana RPC(HTTP / WebSocket)
  • Geyser gRPC(フィルター制限なし)
  • Shredstream gRPC
多くの開発者やプロジェクトは、まず Geyser gRPC を用いてリアルタイムデータの活用を開始し、その後 Shredstream を組み合わせることで、検知と送信のタイミングをより前倒しする構成へ移行していきます。Bundle プランは、この段階的な高性能化を、既存の本番環境を止めることなく進められるよう設計されています。

Premium Ryzen VPS の位置付け

Premium Ryzen VPS
すべてのリージョンにベアメタルサーバーを配置することは、多くのプロジェクトにとって現実的ではありません。そのため、主要拠点(例:フランクフルト)の一部をベアメタルで最速化しつつ、その他の地域を Premium Ryzen VPS でカバーする構成が適しているケースも多くあります。
Premium Ryzen VPS は次の構成を備えています(構成例)。
  • 世界最高クロック帯 5.7GHz の Ryzen CPU
  • ECC DDR5 メモリ
  • NVMe4 ストレージ
  • 20–50Gbps の専有ネットワーク
  • オーバーコミットを行わない専有設計
ベアメタルほどの構成を必要としないアプリケーションでも、主要ネットワーク内で動作する高速環境を現実的なコストで確保できます。

在庫状況とお問い合わせ

シンガポールリージョンにおけるベアメタルサーバーは、現在すべて完売となっており、ウェイトリストでのご案内となります。
要件に応じた最適な構成のご相談や、Bundle プラン、Premium Ryzen VPS、シンガポールおよびその他リージョンの在庫・ウェイトリスト状況については、Validators DAO 公式 Discord にて承ります。
Validators DAO 公式 Discord: https://discord.gg/C7ZQSrCkYR

ERPC、SLV、Validators DAO が解決する課題

  • RPC 環境で発生しがちなトランザクション失敗やレイテンシ変動
  • 多くのインフラプロバイダーによる性能制限
  • ネットワーク距離が通信品質に与える影響の大きさ
  • 小規模プロジェクトほど高品質インフラを確保しづらい状況
私たちは、Solana NFT カードゲーム Epics DAO の開発過程で、高性能な開発環境を容易に手に入れられない課題に直面し、独自のプラットフォームとノウハウを構築してきました。その知見を基盤として ERPC や SLV を提供しています。
今後も、Solana ネットワークの構造や需要の変化に合わせて適切なインフラ構成を整備し、開発者の皆様の体験向上と、より良いユーザー体験の実現に貢献してまいります。